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世界が神の手のひらにあるのなら、神を忘れてこの世を生きればそれがたとえどんな生であれ、致命的な欠陥がある。死に至る病、絶望とはだいたいそんなイメージです。
キェルケゴールは絶望をくまなく分析していくのですが、どうも私には、神の手から零れ落ちた世界を汚らわしく生きながら、神がふたたびこの世界を手にしてしまったらどうしようと恐れている人(太宰治『ヴィヨンの妻』)のほうが、絶望的に思えてくるのです。
セーレン・キェルケゴール『死に至る病』講談社学術文庫、2017年
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